第40回APJE定例研修会 報告

第40回APJE定例研修会 報告
日時:2025年11月9日(日)10時30分~14時00分
会場:ハイブリッド(対面+オンライン)
対面:Escuela Oficial de Idiomas Jesús Maestro (C.Jesús Maestro, 5, Chamberí, 28003 Madrid)
オンライン:Zoom
講師:平川俊助先生(国際交流基金マドリード日本文化センター)
テーマ:現場から考える教材開発
参加者数:会場16名、オンライン25名

アニメやマンガ、和食などをはじめとした日本文化が広く知られるようになり、また日本や日本文化に関する本も多く出版されているスペインの今日この頃。日本に行ってみたい、日本語の勉強をしてみたい、そう思っている若い人も、最近はとても多いという印象をなんとなく受けます。そんな中、2021年にカタルーニャ州のある公立中学校で日本語の科目が初めて導入されました。私は当時新聞でその事実を知った時、心から喜びました。

講師の平川俊助先生

11月9日の研修会では、「現場から考える教材開発」というテーマで、平川俊助先生から貴重なお話を伺うことができました。具体的には、カタルーニャ州における日本語の科目の導入を契機にJFマドリードで開発した「NIHONGO IPPO!」という教材について、構想の段階から試作版完成に至るまでの過程を身近に知ることができた数時間でした。その中でも、教師や生徒が置かれている教育環境の特徴や課題の把握から出発する「現状分析」と、どうすればそれを教材に反映させることができるのかについて考える機会となりました。

今研修会は、カタルーニャ州の公立中学校における日本語教育のための教材開発についてはもちろん、そこから発展して「教育現場や全ての関係者のニーズを考慮した教材」とはどういうものなのか、このことについても改めて考え直す非常に有意義な時間だったと思います。平川俊助先生からのご説明の後、個人で考えてからグループで共有するワークもありました。この際、背景や視点の異なる方と一緒に教材の設計について交流したり議論したりして、今後の活動に活きる示唆も多く得ることができました。また、実際に教材を設計してみるワークを通して、学習者にとって便利でためになる教材を作り上げることの難しさを実感することもできました。

教師は、常に「こんな教材あったらいいな~」と思っているもの。なぜなら、時の流れとともに社会の風潮、学習者のモチベーション、学習の仕方などが変わってくるからです。それに合わせて教育していくのが教師だと、私は考えております。今研修会では、いかにして教材を作成するかによって、環境の課題の解決策にもなり得るということを学びました。新たに教材を生み出しさえすれば環境の課題が何もかも自ら解決するわけではない、という話もありましたが、なるほど教材で学習者がモチベーションを維持できるのかが決まる(それこそ中等教育のような)場合もあるかもしれないな、ふとそう思いました。

今研修会を通して、ご自身の環境の課題やご自身が過去に使用したことのあるリソースなど、様々な角度から情報や経験を共有する参加者の姿がありました。今回貴重なお話をしてくださった平川俊助先生、そして、より良い教材を通して、より良い日本語教育を目指すことの重要性を思い知らされた研修会を企画してくださったスペイン日本語教師会の皆様、どうもありがとうございました。

Martín Azcárate Muez (Salamanca)